日本では毎年約1千万人(約10人に1人)が罹るインフルエンザはインフルエンザウィルス(主にA型・B型)の感染により起きます。その予防法としては、感染しても発病する可能性を低減させる効果と発病しても重症化を防止する効果からインフルエンザワクチン予防接種が最も有効とされます。予防接種以外にも、十分な休養と栄養をとり抵抗力や免疫力を維持することや室内を適切な湿度に保ち(50~60%)気道粘膜の防御機能を保つことも大切ですが、感染予防にはインフルエンザウィルスの感染経路を出来るだけ阻止することが重要です。
インフルエンザウィルスの感染経路には「飛沫感染」と「接触感染」があります。
「飛沫感染」とは感染者の咳やくしゃみ、会話などで発生する飛沫(ツバなど)に含まれるウィルスを吸い込み感染することです。なお、ウィルスを含んだ飛沫の水分が蒸発して乾燥しさらに小さな粒子となったものを飛沫核と呼び、この飛沫核は長時間空中を漂い浮遊します。これを吸い込み感染することを空気感染(飛沫核感染)と言います。
「接触感染」は感染者の皮膚や粘膜との直接的な接触や、ウィルスが付着したドアノブ、手すり、スイッチ、ボタンや便座などの中間物を介しての感染で、中間物に触れウィルスが着いた手で目・鼻・口などを触ることによりウィルスが体内に侵入し感染することです。
これらの感染経路によるウィルスの侵入を出来るだけ阻止するには以下のことが大切です。

<人混みを避ける>
人混みなどでは感染者をはじめ不特定多数のヒトとの接触が増えるため飛沫感染や接触感
染が起き易くなります。

<マスク着用とうがい>
ウィルスの粒子はとても微細なためマスクで侵入を防止するのは難しいとされますが(ウィルスの侵入を防止できるマスクもありますが比較的高価になります)、鼻や口の湿度を保つには有効です。また、ツバや痰などは通さないので他人へうつさない効果は期待できます。十分なうがいは口や喉に入ったウィルスを体外に洗い流すことができます。

<手洗い>手洗いをしっかりと頻回に行うのは最も効果的な予防法とされます。
日常の生活においてヒトは手で様々ものに触れます。風邪やインフルエンザなど病気を引き起こす病原体(菌やウィルス)は様々な場所に存在し付着していて、その多くは手を介して体内に侵入するとされます。ヒトは無意識に手を鼻や口や眼に持っていく癖があり、病原体が着いた手で鼻や口や眼に触れたり食事をすることで病原体が体内に侵入します。よって、手を洗いウィルスなどの病原体を洗い流すことにより体内への侵入を遮断することはとても大切で、帰宅時などに限らず手洗いを正しい方法で頻回に行うことを習慣にしましょう。水道が使用しにくい場合などはアルコール手指消毒剤などを利用しましょう。

「手洗いの正しい手順」
1 流水で手を洗う。
2 石鹸をつけしっかり泡立てる。
3 手のひら手の甲をこすり、指の間も両手を組むようにこすり合わせて洗う。
4 指先や爪の間は手のひらの上で指先をこするように洗う。
5 手首の上まで十分に洗う。
6 親指や手首は反対の手で包みねじるようにして洗う。
7 流水で石鹸と汚れを十分に洗い流す。
8 清潔なタオルやペーパータオルで水分をしっかり拭き取る。