夜中に目が覚め何度もトイレに行き寝不足になってしまうことはありませんか?
夜間就寝中に排尿のために起きなければならない状態を夜間頻尿といいます。40歳以上の男女で約4500万人が夜間1回以上排尿のため起きる夜間頻尿を有し、加齢とともに頻度が増し慢性的な睡眠不足となり日常生活に支障を来たし、暗い中トイレに行くことで転倒によるケガや骨折の危険性が増大します。
夜間頻尿は年齢とともに増加するため加齢現象とされ治療にも反応しにくいですが、その原因をはっきりさせることで改善も期待できます。最近は①夜間多尿②機能的膀胱容量の減少③睡眠障害の3大要因に心疾患・内分泌
環境・下部尿路疾患などが影響し夜間頻尿が発生するとされています。
①夜間多尿とは夜間の尿量の多い状態(1日尿量の33%以上)をいいます。本来、尿は日中に多く作られ、睡眠時は抗利尿ホルモン(尿量を少なくするホルモン)が分泌され夜間の尿量を調節しています。高齢者はこのホルモンの働きが悪くなり夜間多尿を来しますが昼間の適度な運動と眠剤の服用などで安定した睡眠を確保することで抗利尿ホルモンの回復は期待できます。また、高血圧や心疾患、糖尿病などの内科疾患や加齢に伴う腎濃縮機能低下や水分の過剰摂取も夜間多尿を招きます。
夕方から特に寝る前は飲水やカフェイン・アルコールは控え、夜間起きた時の飲水も控えましょう。
②機能的膀胱容量の減少とは膀胱に尿を貯めておけなくなり1回の尿量が減少する状態のことです。神経因性膀胱・前立腺肥大・過活動膀胱・間質性膀胱炎・子宮筋腫・骨盤内臓脱などの病気や習慣性・心因性、加齢により尿意を感じやすくなるなどの原因があります。
病気が原因の場合は治療が必要ですが、後者に対しては、尿意を感じてもすぐにトイレへ行かず我慢して1度に尿を沢山出せるようにするなどの膀胱訓練も大切です。
③睡眠障害も夜間頻尿の原因となります。高齢者は睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが減少し、ちょっとしたことで目を覚ましてしまいます。よって、覚醒と尿意はどちらが先か分かり難いのですが、目覚めてトイレに行く習慣が出来るとおしっこをしたくて目が覚めると感じるようになってしまいます。
睡眠障害には規則正しい生活リズム(特に起床時間を一定にすることが重要)・昼間の日光浴や適度な運動・寝る1時間前の入浴・寝る直前の運動、テレビ、パソコンは避ける・寝室の温度調整など生活全般で対策をしましょう。尚、睡眠障害にはうつ病をはじめ多くの病気が関連している可能性があるので注意しましょう。
夜間頻尿の多くは加齢変化によるものですが歳のせいとあきらめずに日々の生活の中で対策をたて、必要なら内科や泌尿器科を受診し回数を減らしましょう。