最近、歩くだけで息切れするようになってきたかも…。ちゃんと食べてるのに最近痩せてきたかも…。なんだか疲れやすくなった気がする…。外出するのがおっくうなことが増えた…。
これらは歳を重ねれば誰もが感じることです。
人は加歳とともに心身の機能や活力が低下し、生活に支障を来したり助けが必要になったりします。この心身の虚弱化した状態がフレイルです。

日本は平均寿命が男81歳女87歳と世界有数の長寿国ですが、「人生100年時代」を迎えるにあたり元気に自立した生活を送ることができる「健康寿命」を伸ばすことが重要になります。図のようにフレイルは健常時と要介護状態との中間的な段階で、疾患や転倒・骨折などによって要介護状態になる可能性もあれば、適切な介入や予防によって自立した生活に戻ることもできる可逆的な状態です。

 

フレイルを予防するには下記のことに心がけましょう。
<持病のコントロール>
既に糖尿病・心臓疾患・呼吸器疾患・腎臓病や整形外科的疾患などの慢性疾患がある場合にはしっかりとコントロールをして悪化させないことが大切です。

<感染症の予防>
加齢にともない免疫力が低下すると風邪やインフルエンザ、肺炎などに罹りやすくなります。重症化し入院すると、そのまま寝たきりになってしまうこともあります。
*適度な運動やバランスの良い食事で免疫力を高める体作りをする*手洗い・うがいなどで清潔を保持する*インフルエンザ・肺炎球菌などのワクチンを接種する*誤嚥による肺炎などを防ぐためにしっかり口腔ケアをする。
などで感染症を予防をしましょう。

<口腔・嚥下機能を保つ>
加齢とともに歯が抜けるなどで硬いものが食べれなくなったり、飲み込む力(嚥下機能)が弱くなったりします。食べづらくなるつれ、食べる事が嫌になり低栄養を起こすこともあります。入れ歯など口腔内のケアをしたり嚥下機能を保つリハビリをするなど、食べる機能を低下させないようにしましょう。

 

<バランスの良い食事>
低栄養はフレイルを起こす最大の原因で、65歳を過ぎたらメタボ対策より重要です。高齢になると食が細くなり体に維持に必要な栄養素が不足し、特に一人暮らしの高齢者は低栄養状態になりがちです。体を作る栄養素(特にたんぱく質やカルシウムなど)をバランスよくしっかり摂取しましょう。

<日常生活に運動を>
筋力の衰えが日常生活動作に大きく影響することは明らかですし、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量減少や筋力低下)は転倒骨折や各種疾病の罹患や重症化のリスクを高めます。
毎日続けられる運動を日常生活のなかに取り入れましょう。

<社会とのつながりをもつ>
高齢になると、社会的地位や家族の役割が変化したり、家族や友人を失うことで気力や活力が失われてしまうこともあります。外出が減り家に閉じこもりがちになると、身体的フレイルへと進行することもあります。趣味のサークルや地域のボランティア活動に参加するなどして人や社会と関りを持つことは、身体的・精神的フレイルの予防になります。

以上、高齢者ご本人やご家族がフレイルを知り、要介護状態に移行しやすい危険性をはらんでいることを理解しその予防に努めることはとても重要なことです。