いまだに日々報道され続けている新型コロナウイルスのニュースでは「クラスター」や「オーバーシュート」などの言葉をよく耳にします。今まで聞いたことのないカタカナ英語に惑いを感じ、その意味が分からず不安になる方もいらっしゃるでしょう。報道におけるこれらのカタカナ英語の使用には違和感があります。今更ながらではありますが、下記の説明を読まれて新型コロナウイルス情報を把握するための参考として下さい。

 

「クラスター」
クラスター(Cluster)を辞書でひくと「房・群れ・集団」とあります。よって新型コロナウイルスの報道では「集団感染」を意味します。
クラスターの起こり易い条件は、換気の悪い密閉空間、手の届く距離で多くの人が集まり会話や発声をする状況であり、学校・病院・飲食店・スポーツジム・カラオケルーム・ライブハウスなどが相当します。日本は新型コロナウイルス感染拡大防止の為のクラスター対策を重視しているので、これらの「密閉」「密集」「密接」の「3つの密を避ける」が叫ばれています。また、家庭内感染も規模が小さくクラスターという言葉は使われていませんが、浴室やトイレ等共有する場所が多く、食卓を囲み食事や会話をすることが多いことから感染がとても起こり易い環境となります。

 

「ソーシャル・ディスタンス」
ソーシャル・ディスタンス(Social Distance)は人と人との距離を物理的に空けることでウイルス感染を防ぐ手段のことです。物理的な距離をとる意味でフィジカル・ディスタンス(Physical Distance)とも言われます。

 

「オーバーシュート」
オーバーシュート(Overshoot)は「通り越す・行き過ぎる・外す」という意味で新型コロナウイルスにおいては「爆発的な感染者増加」を意味しますが、本来は金融や証券の用語でもあり、様々な状況で使うので外国人にも理解できない可能性が非常に高いようです。

 

「ロックダウン」
新型コロナウイルスの場合、ロックダウン(Rock Down)は英語圏において「都市封鎖」を意味しますが、法律の違いにより海外で行われている様な「都市封鎖」は日本では行えないのが現状です。

 

「パンデミック」と「アウトブレイク」
ある地域において、一定の疾患患者が一定の罹患率で恒常的に発生している状況をエンデミック(Endemic)、エンデミックの範囲を超えてその地域でその疾患患者数が予想以上に増加した状況をエピデミック(Epidemic))、更に国境や大陸を超えて複数の国に拡がった状況をパンデミック(Pandemic)と言います。
アウトブレイク(Outbreak)はエピデミックと似た意味ですが、より限定的な地域での状況に用いる様です。何れにしても範囲や規模など
相対的な問題となり表現としてはっきりせず分かりにくいと思われます。

 

「COVID-19」と「SARS-CoV-2」
COVID-19とはCorona Virus Disease 2019の略で、2019年に発生した新型コロナウイルス感染症を指します。また、ウイルス名についてはSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとしてSARS-CoV-2と名付けています。