新型コロナウイルスの出現からもうすぐ2年になります。この間我々の生活は、感染予防、感染拡大防止を目的にとても大きな影響を受けました。外出自粛規制をはじめ、スポーツジムなど多くの運動施設は休館となり、多くの市民スポーツ行事などは中止を余儀なくされました。町内の顔見知りが集っての楽しいグランドゴルフさえ行えない状況です。政府の要請する「3密を避ける」や感染不安もあり「ステイホーム」での日々を過ごす方も非常に多いと聞きます。この様な行動制限は経済を低迷させるだけでなく、それ以上に我々一人一人の身体的及び精神的健康に計り知れ無い負の影響を与えます。特に高齢者にとって身体活動量や社会活動量の減少の長期化は、大きな問題となります。
身体活動量低下により、短期間で体力や筋力が低下し、運動機能をはじめとし生活機能全般の低下のリスクが大きくなります(骨、関節、筋肉などの運動器が衰えるロコモティブシンドロームや生理的予備能が低下するフレイルなど)。また、生活習慣病などが発症し易くなり、さらに社会的活動の制限は認知機能低下や認知症の発症、鬱などの精神科疾患の誘因ともなり得ます。
この様に長期または過度の活動制限により、高齢者の体力や気力は低下し、疾患の発症や悪化により介護を必要とする状態を招きます。高齢者の「感染予防と介護予防の両立」は高齢化社会にとって大きな課題となり、基本的な感染予防(3密回避、マスク着用、手洗い励行など)を徹底しながら、介護予防(身体活動や社会活動)を維持・促進することが重要となります。
人の少ない場所や時間帯を見計らって散歩や買い物に出かける。
室内でできる体操やトレーニングを日々積極的に行う。
定時に起き、3食きちんと食べ、適度な運動をして、十分な睡眠をとる規則正しい生活。タンパク質やビタミン類を十分とり、こまめに水分補給をする。
携帯電話やパソコンで家族や友人の笑顔を見ながらビデオ通話を楽しむ。
これらはほんの一例ですが、その人それぞれの状況や環境に合わせ色々と工夫し、感染予防と共に介護予防の為の身体活動・社会活動を推進して下さい。

 

<ロコモティブシンドロームとは>
人間が立つ、歩く、作業するといった、広い意味での運動の為に必要な身体の仕組み全体を運動器といいます。運動器は骨・関節・筋肉・神経などで成り立っていますが、これらの組織の障害によって立ったり歩いたりする為の身体能力(移動機能)が低下した状態をロコモティブシンドロームといい、要支援や要介護になる原因のトップです。

 

ロコモティブシンドロームのチェック
*片足立ちで靴下がはけない
*家の中でつまずいたり滑ったりする
*階段を上がるのに手すりが必要である
*家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
*2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難
である(1リットルの牛乳パック2個程度)
*15分ぐらい続けて歩くことが出来ない
*横断歩道を青信号で渡り切れない
これらのうち1項目でも当てはまればロコモティブシンドロームの疑いがあります。

 

<フレイルとは>
フレイルとは高齢者において生理的予備能(=外からのストレスによる変化を回復させる能力)が低下し、要介護の前段階に至った状態を意味します。フレイルが現れる要因には身体的、精神・心理的、社会的の3つの側面があり、このうち身体的フレイルはロコモティブシンドロームと深く関係しています。

 

一般的なフレイルの評価基準
*6カ月で2~3kg以上の体重減少
*「わけもなく疲れた」と感じる
*筋力(握力)の低下
*身体能力(歩行のスピード)の低下
*日生活n活動量の減少
上記の3項目以上の該当はフレイル、1~2項目の該当は前フレイル、該当項目無しは健常。